プロポーション・ディテール・走りの全てに史上最善のナナゴ

モーター付きとトレーラー車のセット。動力車は67号機のほう。
|
評 価
|
| 全般 |
★★★★☆ |
| ディテール |
★★★☆ |
| プロポーション |
★★★★★ |
| 塗装 |
★★★★★ |
| 構成 |
★★★★ |
| 走行性 |
★★★★☆ |
| コストパフォーマンス |
★★★★ |
国鉄型交流電機をどんどんラインナップして来たMICROACE、既に製品化の穴埋めの時期を終え、他社が製品化済みの題材をラインナップし続けていたが、このED75をもって国鉄型交流機についてはコンプリートという事になる。その製品化手法にも、相当な自信を付けて来たという事に他ならない。
ED75といえば、KATO、TOMIXが80年代からラインナップしてきた他、古くにはエーダイ製品もあったし、更に太古の昔には同じトミーでも「ナインスケール」時代の香港製品が懐かしい・・・という具合に、とかく製品化には恵まれてきた。そういう意味では「何を今さら製品化?」という気がしないでもないが、今回のMICRO ACE製品はなかなかの質を感じさせる。
MICRO ACEとしては、かつてED79を製品化しており、このED79といえばED75700番台から改造されたものだから、既にED75に限りなく近いものは製品化していた事になる。だがこのED75と較べると、流石にその観察眼・工作共に確実に進歩している事が実感できる。
ED75-67
動力車の67号機。破綻を微塵も感じないプロポーション。ED76で車高が高すぎて心配したが、きちんと元に戻っている。
ED75といえば重連…そうイメージ出来るのは、東北を旅した人たちだけかも知れないが、そうした重連運用の75を淘汰すべく増備されているのがEH500である。それほど東北地区では重連運用が多いのだが、今回はM+Tの重連セットという売り方のみ。かつてのED79と同様の売り方だが、悪くないだろう。ラインナップとしてはここで掲げた標準色の他にJR貨物試験色もあり、発売後の市場ではどちらかというと、そちらのほうが先に売れてしまったようだ。

異なるエンドを並べてみる。スカートの角が丸められているのはED73等と同様で、初期型75の特徴。例によって電機用KATOカプラーにも交換できる。
全般的には車高・プロポーション・ディテールそれぞれに良好。ED76では車高が高すぎたから心配したが、75では問題ない高さに戻った。難を言えばパンタグラフ。強度的には徐々に改善されているようだが、今回は折りたたみ時の形態がかなり下窄まりの「へ」型になってしなっている。また、ED73でも述べたがここまで作り込んだのなら、KATO製品のように車輪の輪心に黒のプラパーツを嵌め込んで引き締めて欲しかった。
走行性に関しても、牽引力はそこそこだが走りのスムーズさには申し分なく、同じく形態的に良好なTOMIX製品が未だスプリングウォーム駆動なのを考えれば、そのアドバンテージは明確と言える。
<ワシ的ココロ> やはり車高が高かったED76
 
ED76はやっぱりおかしいよ!という事を、今回のED75と比較するカタチで写真でお見せしておこう。この写真から一目瞭然である。実車の基本構造は共通で台車も同じだが、76ではご覧のように台車枕バネと車体との隙間が甚だしく広い。車体裾高さ自体が高く、その分スカートが長めになっているのが判る。

MICRO ACE A8122
国鉄ED75-67・77 重連セット 13,020円(税込)
MICRO ACE ED70-2 ・ ED70-14 2003.10.4
質感豊かに、手馴れた製品化

こちらが標準仕様。原型タイプの2号機
<評価>
全般 ★★★☆
ディテール ★★★☆
プロポーション ★★★☆
塗装 ★★★★☆
構成 ★★★
走行性 ★★★
コストパフォーマンス ★★★☆
我が国最初の量産交流電機であるED70。登場は昭和32年で、現在のNゲージャーでも知る人は少ないであろう機関車である。MICRO ACEはニッチ戦略を一歩進め、そのポリシーとしてあらゆる国鉄型機関車を製品化する事にしているようで、蒸機でもC54やC10みたいな機種を製品化している。どう考えても、そうは売れそうもない機種だが、ひと通り網羅したいというのはメーカーとして素晴らしいスピリットだと思う。
交流機では既にED77・72・73と、時にはその試作機も交えつつマイナーどころを製品化してきたが、東北では決してマイナーではなかったED71よりも先に、ED70がラインナップされるとは意外であった。未だ予定されていないが、残すところMICRO ACEとしては、量産交流機はED71だけとなっている。

2号機。もともと実車も腰高な印象がある。台車の枕バネは、意図的にもう少々大きめが良かったか…?
同時代のDF50やED71に通ずる前面を傾斜させたデザインは、如何にも昭和30年代。Nゲージプラ量産品としては意外にも初めてではなく、かつてTOMIXが黎明期に香港製で発売して以来の商品となる。
全般の出来としては、なかなか素晴らしい。この機の特徴であるサイドの通風孔のシルバーも実に美しく入り、賑やかな屋根上機器も上々。前面には手摺りがプラ整形で手際よく再現され、若干のバリもあるが十分に好印象である。

14号機のサイドビュー。前後のスノープラウで引き締まっている。こうして見ると前面の手摺りも好印象
この機種はそもそも少々腰高に見えやすい佇まいで、模型化ではそれをどのように見せるかが一つのハードルとなる。最近のガレージメーカーによる金属キットでは、台車奥に見える車体台枠を存在感を持って見せる事でクリアしており、好印象だった。
このMICRO ACE製品では、腰高に見える事への対策として車体側の台枠取り合い部や乗務員ステップをモールドする事で、ある程度安定的に見せている。が、それでも腰高感はある。台車の枕バネを、意図的にもう少々大きくモールドするのが良かったかも。
14号機の正面
貫通扉が埋められた正面。手摺りは太めだが、手にとって見る印象はそうで
もない。スノープラウでぐっと落ち着いている。例によって、カプラーはKATO
カプラー電機用に取替え可能。
不満点として、払拭できていない腰高感は挙げたが、その他強いて挙げればスポークになっていない輪芯がある。この時代の電機は未だスポーク車輪のものがあり、MICRO
ACEでは直流機でEF61などに採用している。ED72試作機では、実車がそうでも何故か採用せず、全体の出来の良さに比べてテラテラに光る輪芯に落胆していた。
スポークに限らず、要はプラ製の輪芯パーツが嵌め込まれれば落ち着いて見えるのだが、このED70もただの金属製プレート車輪。しかし、ED72と違って黒染め車輪となったため、十分に落ち着いて見えるから一応及第点だろう。
見た目上の問題ではないが、注意しないとすぐに上枠材が外れてしまうパンタは相変わらず、一旦外れると初心者には相当に直し難い。そろそろ、なんとかして欲しい。
* * *
ED72やED77の試作機と同様、このED70の2タイプもMICRO ACEというメーカーが無ければ世に出なかったであろう製品である。いろいろと言いたい事は多いメーカーではあるが、その存在価値は誰しも認めるざるを得ないだろう。
<ワシ的ココロ>
ワシが鉄道模型に入門した昭和40年代末、その主流はまだHOであって、カツミ模型店がキハ82系を筆頭に、安くて完成度が高く入門者に好適な製品をたくさん出していた。そうした初心者向けラインナップの中にED70もあって、当時完成品で8000円、塗装済みキットで6500円だったのをよく覚えている。実物はマイナーな機種だっだものの、カツミが出していた事で実車を知った当時の入門者は多かった事だろう。こうした事を思い起こすと、当時と比べて現在の鉄道模型シーンが進歩したと言えるのか…やっぱり、甚だ疑問なのである。
MICRO ACE ED73-22 ・ ED73-1003 2003.4.16

高速化改造バージョンのED73-1003
<評価>
全般 ★★★★
ディテール ★★★☆
プロポーション ★★★★☆
塗装 ★★★★☆
構成 ★★★
走行性 ★★★★
コストパフォーマンス ★★★☆
とうとうED73も発売である。このところ急速に網羅された交流電機のプラ量産品ラインナップ。ED72と73の発売で、残すところ大きな穴としてはED71ぐらいしかなさそうだ。蒸機ではC54が出ているから、ED74もアリなのだろうか?
先行して昨年発売されたED72と同様、このED73も基本的には素晴らしい出来だと言える。仕上げの仕様はほとんど72と同様。塗装は全く同じではなく、72よりもわずかに艶があるが、これも好感の持てる赤である。レタリングは72よりも更に細かいものが入っており、実際にキャブ側面裾など「小倉工」などと読める部分はスゴイ。
開放テコは今回も付けられ、これは実に効果的。スカートは、なんと高速化改造後の1003号機とノーマルな22号機とでは作り分けられている。ED72と共通のスカート下の排障器も実際よく見えるので効果的だが、これはポイントレールにかなりギリギリで時には当たる、キワドイ部品である。最初にレイアウトを走らせる際は徐行でお願いしたい。その他、床下機器の一部メッシュ部分には銀が入れられている。

ED731003

ED7322
・・・と、サイドビューを並べてみたものの、引き込み碍子の色とナンバー以外この角度での差はほとんど無い。屋根上は72で不思議なモールド色(茶色系・線の銅色を意図した?)だった高圧線と碍子が、ノーマルな銀のモールドとなった。ユーザーで碍子に色差しすればパーフェクト。大きな引き込み碍子が22号では白、1003号ではグリーン。単にグリーンはシリコングリスの色の筈で、登場からブルトレ牽引の頃は使われていないという事か。どなたかご教示下され! パンタの強度は徐々に良くなってきたようには思うが、丁寧に扱わないとたちまちバラバラになってしまうのには未だ変わりない。見た目の良さは十分だが、これには困ったものだ。
黄色いナンバーだが、高速化改造機の1003号はワシも実際に見ていた世代なので良く知っている。で、もう一方の22号は20系ブルトレや博多乗り入れの151系を牽引した頃、プレート的に見せる形でナンバーに枠が付けられていた、その当時の仕様となっている。手元にカラー写真が無いのだが、ワシはこれが果たして黄色だったのかギモンなのだ…これもご存知の方はご教示いただければ幸い(^^; いずれにしても、22号の枠は少々大きすぎた(特に上下に…)ようで、もっと文字との間がタイトなら良かった。

ED73は最終的に全て1000番台(左)に改造された。写真では判り辛いが、スカートはそれぞれ専用のもの
動力ユニットは、車体長が72とは全く違うので中身は相当に違うと思われるが、今回も同様に走りは上々、十分にスムースなものだった。例によってフライホイールの存在はKATO製品ほどには実感できない。欲を言えば、ユニット各部のトータルな走行抵抗をもっと小さくするか、フライホイール自体を重くして、その効果を実感できる程度にする必要があるだろう。フライホイールを大きくするには、小さな73は72よりも相当に不利だが。
足回りの外観的には、ED72もそうだし先のED77の際も述べたが、ここまで来たら車輪の輪芯をボックスにしてもらいたかった…というのが本音。欲張りかも知れないが、ここまでのモノを見てしまうと、それで数百円高くなるのは全然OKという気がする。
交流電機というのは、小粒のD形であってもモデル的には元々見た目の賑わいがある。これだけ良い商品が出ると、しばし手にとってニンマリとしていたくなるし、こういう趣味の無いヒトにもつい見せたくなってしまう…それほどの製品である。

往年の門司機関区も完璧に演出可能に…あ! EF70出すの忘れた
※追記 MICRO ACEが台車モールドのエラーに対応
な、なんと、ワシも上記インプレ時には気付かなかった「台車の乗務員ステップモールドエラー」というのがあった。これについてはMICRO ACEが回収して対応する。詳しくはこちら…
http://www.microace-arii.co.jp/news/ed73after.html
MICRO ACE ED77

<評価>
全般 ★★★★
ディテール ★★★
プロポーション ★★★★★
塗装 ★★★★
構成 ★★
走行性 ★★★★
コストパフォーマンス ★★★☆
量産機とはいえED77はレアな機種で、いかにも同社のラインナップという感じ。今年リリースのED79に続く近代型交流機で、作りもほぼ同じフォーマット。79では塗装表現のみだった飾り帯(実車は銀に塗装した鉄板)が、今回はきちんとモールドされている(同・クロームメッキの鉄板)のは改善。79では驚いたパンタ碍子までの色入れは、今回さすがにない。
メーカーズプレートの表現がとても美しいのだが、cvレートがバリも取らずにはめ込まれている事はいただけない。それと、ここまで作り込まれていると気になるのが、79や72もそうだが車輪が輪芯までただの金属プレートである事だ。旧型電機やEF61では見事なスポークを精度を伴って実現しているのだから、ボックス動輪化されないのは期待外れ。EF61やED79などと同様、電機用KATOカプラーに交換できるが、工夫しないとカプラーヘッドの動きは少々堅いようだ。
走行性は静粛かつ振れもなく全くスムースで、店頭では1台めのテスト車で購入した。全般に出来は素晴らしく、充分に2大メーカー並み以上。中国製でもこの出来・この性能なら、あとの危惧はいよいよ部品供給ぐらいだ。
<実車>
1967年、ED75をベースに線路等級の低い磐越西線用に登場した機関車で、ED76同様に、油圧で軸重加減が可能な中間台車を備える。 蒸気暖房装置のある76ほど長くなく、ちょうど75と76の中間的な車体長である。1993年9月、磐越西線の線路強化によりED75に置き換えられ全機廃車。
MICRO ACE ED77−901

<評価>
全般 ★★★★
ディテール ★★★☆
プロポーション ★★★★★
塗装 ★★★★
構成 ★★
走行性 ★★★★
コストパフォーマンス ★★★☆
先に同社から製品化されたED72試作機同様、一昔前なら量産品としての製品化など想像も出来ない機種。 基本的な出来は量産機と同様だが、屋上のケーシングや貫通化改造された前面(扉以外、上部が若干傾斜している)は、当試作機の特徴をよく捉えており、ポイントを上手く押さえ作り込んでいる。これも走行性は充分満足できた。
<実車>
磐越西線用ED77の試作機で、もとED93−1。1965年の登場時は前面が非貫通で、後にED77量産機に合わせて貫通化改造されている。後にED78の試作機となったED94が量産機とほとんど同じスタイルなのを考えると、ED75以降の近代交流機としては、ほとんど唯一の超レアモノ。
|