ようやく無難にまとまった485系

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評 価
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| 全般 |
★★★☆ |
| ディテール |
★★★ |
| プロポーション |
★★★★ |
| 塗装 |
★★★★☆ |
| 構成 |
★★★☆ |
| 走行性 |
★★★★ |
| コストパフォーマンス |
★★★☆ |
MICRO ACEの485系といえば、ごく初期にJR東日本の更新車3000番台をラインナップしているが、今回は比較的ノーマルな485系。とはいえ、九州地区の先頭車化改造車クモハ485を含む、JR九州のコーポレートカラーのレッドエクスプレス仕様である。
こうしたJR九州仕様の485系は、TOMIXから「赤いかもめ」や「RED&MIDORI EXPRESS」が発売されて久しい。TOMIX485系も今やHG仕様に移行し、また正規の200番台なども追加されているが、その遥か以前の話になる。TOMIXのJR九州仕様485系に言えた事は、クモハなどその特徴とも言える先頭車化改造車まではあくまでラインナップせず終いとなっていた事。
今回のMICRO ACE製品は、そうしたTOMIXのレッドエクスプレスシリーズを理解した上で、発売されていなかった穴を埋めていくものと考えてよいだろう。
各形式のプロフィール
クモハ485
モハ485に運転台ブロックを接合して生まれた0番台は、機器室が大きい分定員が少ない。
モハ484
こちらはトレーラー車のモハ484。ノーマルな形態だが、例によって片パン撤去されている。
モハ485
洗面所スペースに車販準備室が設置されたタイプのモハ485。
モハ484(M)
モーター車のモハ484。車高も他車にピタリと合っている。アタリマエといえばアタリマエだが・・・
クロハ481
ユーザー貼り付けの窓ステッカーを未だ貼っていない状態。写真側の中央のレタリングと車番の位置はエラー。
今回セットはクモハを含む5連。「RED EXPRESS にちりん」と題されているものの、実際には「有明」「かもめ」にも同じ編成で使用されていた事があり、中でも「かもめ」+「ハウステンボス」+「みどり」と併結した5+4+4の堂々13両編成に入っていた事は地元で鮮明に記憶されている。

フロント部をTN化したクモハ485に、TOMIX「RED&MIDORI EXPRESS」のクロハ481を連結してみた。実際の「かもめ」+「みどり」で見られた組み合わせだ。ご覧の通り、違和感はほとんどない。
さて注目のクモハ485、今回は機器室が大きく定員の少ない0番台である。これはモハ485を先頭車化した初期のもので、このセットには含まれていないが同時期にサロ481を先頭車化したクロ480も生まれている。これらの特徴は、運転台部分をユニット化して継ぎ足したため、運転台側のオーバーハングが通常のクハよりも大きめな事である。このセットはこの点に忠実で、クハ481-200番台の改造車であるもう一方の先頭車クロハ481と並べてみると、明らかに全長が異なる。

TOMIX「RED&MIDORI EXPRESS」(左)と並べてみる。さすがに製品の生まれた時代の差は大きく、ディテール・レタリング共に精密度では今回のMICRO ACE製品が上回る。だが併結して遊ぶには絶好の相手である。写真のMICRO ACE製品はTN化済み。
さて先述したように、九州の赤い485系といえばまずTOMIX製品が思い浮かぶ。上の写真のように比較してみると、かれこれ一昔前の製品という事もあり、現代の視点で見れば全体の作りはあっさりしたものである。真っ赤な塗装一色で売られ、特徴である細かいレタリングはユーザーが全てインレタを貼らねばならないという、労力を要する製品であった。今回のMICRO ACE製品は、それより更に細かいレタリングかなされている。
また、近年HG化される以前のTOMIX485系先頭車(ボンネット車を除く)は全て、基本的に1000番台の型を流用して「らしく」作られていた。だから、ほとんどが200番台クハを種車とするJR九州の赤いクハでも、1000番台(300番台と同様)の、ちょっと長めの寸法であった。モハ484のパンタ周りも、耐寒耐雪構造のランボード形態のままモールドされていて、そういう意味でも大味な製品だった事は確か・・・
そんなTOMIX既発売の赤特急群だが、今回の製品をTN化したら、まずは併結して遊んでみたい相手だ。

今回のMICRO ACE製品クロハ(左)とTOMIX製品クロハ(右)を比較してみる。MICRO ACE製品はきちんと200番台の寸法。
ところで、今回惜しいのはクロハ481側面のレタリングのエラーである。左右の側面を見比べてみると、「RED EXPRESS」マークと車番がセットでズレている。上から見下ろして右サイドが前過ぎるエラーで、これはユーザーとしての修正も効き難いし、なんとも避けて欲しいミステイクだ。
全体にはプロポーションも良好で、細かいレタリングも映える製品。走行性も確かなもので、ようやく無難に勧められるMICRO ACE製品になった感がある。とはいえ、フロント部の浮きの無いTN化には、床を外すだけでなく、シート部品を床から取り外して先に嵌め込むといったコツが、未だに必要であった。
MICRO ACE 「RED EXPRESS にちりん」 2005年11月発売
MICRO ACE JR九州キハ183-1000系 「オランダ村特急」「ゆふDX」 2005.9.25

軽快なトリコロールカラーの登場時「オランダ村特急」と、重厚な現行スタイルの「ゆふDX」。いずれも秀逸な模型化。
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評 価
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| 全般 |
★★★★★ |
| ディテール |
★★★★★ |
| プロポーション |
★★★★★ |
| 塗装 |
★★★★★ |
| 構成 |
★★★★★ |
| 走行性 |
★★★★★ |
| コストパフォーマンス |
★★★★☆ |
この、JR九州が一編成しか保有していない特急型気動車は、北海道で活躍しているキハ183系に属し、その1000番台を名乗っている。もともとは、今回製品化された「オランダ村特急」のスタイルでデビュー。これは昭和63年春の事で、特急「有明」にデビューしたハイパーサルーン783系と同時であった。ところが、こちらは1編成オンリーだから特殊。そもそもその当時人気のあった現「ハウステンボス」の全身、「長崎オランダ村」へのアクセス特急として一日1〜2往復が運転されるのみであったが好評を博し、更に鹿児島本線上では当時の最新技術を駆使して485系特急と併結・協調運転を行うなど話題も多かった。登場一年後、好評に応えて3両編成から4両編成へ増強している。

現行仕様の「ゆふDX」は、もはや説明不要なJR九州独特のレタリング・パフォーマンスも細かく再現。
「長崎オランダ村」が「ハウステンボス」へと移転・拡充されると、JRは大村線に駅を併設しここまでを電化。「かもめ」「みどり」と併結した485系特急「ハウステンボス」を運転するようになった。ここで「オランダ村特急」は久大線へと転進、大人気を博していたキハ71系「由布院の森」を増発するために整備され全身メタリックグリーンを纏った「由布院の森U世」として、整備・充当された。
ところが、全車ハイデッカー仕様のキハ71系「由布院の森」とは、相当に趣の違いすぎる車両で、利用者の期待通りではなかった。ほどなくハイデッカーの新造車としてキハ72系が登場すると、今度はほぼ登場時に近いトリコロールカラーとなり、大村線の特急「シーボルト」として活躍。この特急の廃止後は暫く小倉工場に保管となり動向が心配されたが、「由布院の森」シリーズとは違った重厚なリニューアルが施され、「ゆふDX」として再び久大線に投入されている。
さてこのモデル、2種類共に、そのプロポーションは秀逸である。

当然の事だが、編成のフロント部・動力車などでも車高の乱れは見られない。

ボディー全般の形態がディテールまでよく判る「ゆふDX」仕様。台車部の車体裾は台枠の形態から少し下がっている。
それだけでなく、この二種のバージョンは単なる塗り替えによるバージョン違いではない。上の写真比較でも判るように、ボディーの型自体が実車でそれ相当な変化を遂げているのをよく観察し、作り分けている。
同じ九州モノのキハ185系は、最初にMICRO ACEから発売された時、全体に車高が高いだけでなく動力車のみ妙に高いなど、プロポーション重視のワシ的には相当の不満があった。しかし数年を経て、この製品は2バージョン共にそうした部分が見つからない、素晴らしい出来となっている。

こちら「ゆふDX」は、JR九州独特のいわゆる水戸岡デザイン調。

JR九州発足当時、水戸岡デザイン黄金期に入る前にデビューした「オランダ村特急」は、生粋のトリコロールカラー。
走行性も良好で、文句をつけるほどの部分はなかなか無いと言ってよい今回のモデル。敢えて言うなら「オランダ村特急」の屋根は、模型的には屋根自体と屋上機器の塗装トーンを明確に分けたほうが、よりリアリティーがあると思える。その点、ベタな水戸岡デザインの「ゆふDX」は機器類が濃いボディ色で目立つ。いずれも実車の観察どおりなのだろうが、モデル的には意図的に多少のメリハリを付けて欲しい。
MICRO ACE JR九州783系 「みどり」「ハウステンボス」 2003.9.30
「ケバい」車両だからこそ、基本をしっかりすべき!

塗装やレタリングの仕上げは素晴らしく、工芸品的な味わいもある製品。MICRO ACEの得意な路線である
<評価>
全般 ★★★☆
ディテール ★★★★
プロポーション ★★★
塗装 ★★★★
構成 ★★☆
走行性 ★★★
コストパフォーマンス ★★★
先に掲載した「ハイパーサルーン」「有明」仕様(7両編成)に加え、当然の如くラインナップされたのが近年長崎・佐世保線に転用された後の「みどり・ハウステンボス」仕様(8両編成)である。大幅なリニューアルにより、屋根上にも空調機器を搭載した状態になっている。かつて併結のあった「かもめ」用5両編成も欲しくなるが、これは追って企画される可能性もあろう。
787系に追われて活躍の場を移した彼等。現在の形態として特徴的なのは「みどり」「ハウステンボス」を併結するために生まれた切妻先頭車(サハ改造)であり、これはJRのステンレス製中間車→先頭車改造としては「先駆車」的存在。JR九州の車両としては、後に登場した新車817系などの顔に影響を与えた、全面ガラス張りのフロントマスクとなっている。両列車が切妻先頭車同士で併結された編成の、両端となる先頭車が783系オリジナルの流線型というスタイルだ。原色を使った派手なカラーリングは787系などのデザイナー、水戸岡氏によるデザインである。

切妻先頭車の側から見た「みどり」編成。先頭部はTNに交換済み。実物はとても凝ったディテールを持つデザインである。

少々ピンボケだが、TNに替えれば切妻同士の連結部はこんなに狭くなる。実物より狭いかも…?

切妻先頭車フロントのガラスパーツ固定方法が、正面から丸見えで残念。TN品番は0334が指定で、最近発売された0335(0334のグレー)でも良いが、ワシとしては実物通り電連付きの0332(グレー)がお勧め。カプラーポケット部が大きいが特に支障しない。これは床下同様にグレーだが、正面からTNカプラーの台座部が目立つので、一方には0331(黒)を取り付けてみた。
このセット全般の塗装表現は実に素晴らしい。細かくカラフルな色彩は塗り分けも良好で、例によってベースとなるステンレスのシルバーも、実車の仕上げに則してトーンに差をつけている。また実車では、リニューアル時にもとの赤白帯の入っていた部分をシルバーにペイントして隠しているが、このモデルではそれも表現。実に手間の掛かった塗装である。
切妻先頭車のフロント部は無難なモデリングで、特徴あるワイパー根元部カバーや貫通扉の表現はなかなか感心する。しかし総ガラス張りフロントの最下部でガラスパーツから爪を出し、固定のためボディーに角穴を開けて差込んでいるのが丸見え!!なんとも残念である。もっとガラスパーツの巧い固定方法はなかったのだろうか?
この連結面のTN化はユーザーとしてはアタリマエに思える。MICRO ACE得意の「首振りアーノルト」カプラーにはいい加減笑ってしまうし、そろそろこういう部分はTNを標準装備化しては? 例によってTNへの交換そのものは簡単だが、結果、そのままではスカート部がだらしなく垂れ下がってしまうのも、これまで多々あった例に同じ。そもそも実車もデザイン上、スカートと車体の隙間が大きいのだが、写真の適正なレベルに調整するのには各部を削って合わせるなど結構な手間であった。

パンタ周りだけでなく、電動車同士をつなぐ特高引き通し線(一部省略)や増設されたクーラー周りの配線など、ほぼ銀一色の屋根上ながら、なかなか賑わったディテール。
「みどり・ハウステンボス」は4+4の8連で、モーター車は「ハウステンボス」のモハ783一両である。だからこのままだと「みどり」の単独運転は出来ない。これはコストを考えると仕方ないところか…
「ハイパーサルーン有明」仕様で指摘した車高のバラつき、車体の反りについては、繰り返しになるので筆を割かないが、こうした「ケバい」車両ではなおのこと、編成全体の統一感は重要。車高の不揃いなど余計に困ったもので、極端すぎるとチンドン屋みたいになる。今回は許容範囲かどうか微妙なところだが、動力車があからさまに一段高く見えるのは愕然としてしまう…
歴然たる車高不揃い
動力車のモハ783(左)とクロハ782(右)に見る、歴然とした車高差

オリジナルの流線型先頭車はリニューアルでフォグランプ等が追加されている。カプラーがTN化出来ないのは残念…
現在でも「かもめ」と「みどり」、「かもめ」と「ハウステンボス」といった併結時、流線型先頭車同士や流線型+切妻の連結シーンは見られる。それだけに、流線型先頭車がTN化対応となっていないのは残念。各自、工夫してみる価値はあるだろう。
アーノルトでもまずまずの連結面間
 
全車のTN化(左)はお勧めしたいが、最近のMICRO ACE製品はアーノルトカプラーのままでも連結面間そのものは十分に狭い(右)。これで満足という人もいるだろう。
クハ783へユーザー貼付けの窓枠シールって?
このセットには「クハ783-109窓枠シール」なるものが添付されていて、写真の円内部分
(両側面)にユーザーが貼り付ける。この製品では、窓枠の黒いピラー部分も窓ガラスパ
ーツとして一体整形の上、着色されている。そうした行程上、ここだけ正規の赤に着色す
るのが困難だったものと想像され、製品の塗装ミスというわけではないだろう。ただしシ
ールは紙製の貧弱なもので、周囲の塗装と比べれば良質とは言えない。丁寧に台紙か
ら切り取ったら、赤マジックでいいから周囲の切り口を軽く塗ってから貼り付けたい。
* * *
ワシが口うるさく指摘している車高不揃いの問題は、気にならないという人も中には居られるだろう。確かに、数メートル離れて編成を見渡すと、そんなに判らないレベルだ。ただ、こういう問題はメーカーが一旦無頓着になると、どこまでも続くしひどくなっていく恐れがある。他のメーカーが全く問題なくクリアしているこういう問題は、「どのレベルなら許容範囲」という事ではなく、基本的には全く許したくないというのが本音なのだ。これだけディテールや塗装仕上げなど見るべきところの多いモデルだと、「それだけに惜しい」と感じるのは消費者である前に、まずメーカー自身であって欲しいのである。
MICRO ACE JR九州783系 「ハイパーサルーン有明」 2003.9.21 
JR初の特急電車。待望のラインナップだが…

JRグループ初の特急型電車として88年にデビューした当時の仕様
<評価>
全般 ★★★☆
ディテール ★★★★
プロポーション ★★★
塗装 ★★★☆
構成 ★★☆
走行性 ★★★
コストパフォーマンス ★★★
JR発足後、初の特急型電車として88年、華々しくデビューした783系が発売された。この系列を登場させた事によってJR九州は、最新テクノロジーとデザインを生かした高性能な新型車両の集客能力を確信。「つばめ」用787系を初め「ソニック」883系、「白いかもめ」885系、快速用811系・813系へとコンセプトを拡充していく事となる。783系の特徴は、最高速度130km/hというだけでなく、当時の通勤輸送用の主力421〜415系すら遥かに凌駕する加速力だろう。加えて、当時の短い編成内で普通/グリーン・指定/自由・禁煙/喫煙を細かく設けるため、車体は中央にデッキを設け2室に分けるという異色のデザイン。
これまで、これらJR九州の特急電車は787系、885系、883系の順に、何故か専らKATOから発売されてきた。地方線区の車両ではあるものの、これらは特にデザイン性や列車名のネームバリューもあって全国区の人気を集め、そこそこの販売実績を挙げているようだ。MICRO ACEも、JR九州モノとしては過去にディーゼル特急の「ゆふ・あそ」用185系を出しているが、いよいよ783系で九州モノに本格参入の感がある。ちなみに特急モノではないが、この後快速用811系各種の発売が迫っている。
<セット内容を見てみよう>
クモハ783
「有明」では上り方の先頭車で、運転台側の半室は側窓が大きい。前面展望も話題になった。
モハ783-100番台
動力車。783系は1M方式だが、この車はクモハと特高線で結ばれ、パンタは準備工事のみ。
サハ783-100番台
最も定員の多いサハ。車高にバラつきの見られるこのセット中、これは設計通りで浮きがない。
モハ783-0番台
モハの基本番台。こちらはパンタ付き。
サハ783-200番台
200番台は乗務員室・車販準備室付きのサハ。これも車体に浮きが無く設計通りのようだ。
モハ783-0番台
これも上の4号車と同じ仕様。
クロ782
このクロは両室ともグリーン。この他に783系には登場時から短編成向きのクロハがあった。
今回発売の製品ラインナップとしては、まず「ハイパーサルーン」と言われた88年「有明」にデビュー当時の仕様(7両編成)。そして近年長崎・佐世保線に転用された後の「みどり・ハウステンボス」仕様(8両編成)という2バージョンである。この陣容だと、「みどり・ハウステンボス」に連結される事もあった「かもめ」用編成、又はそれにデザインの近い93年以降のリニューアル色(有明などで使用された)の5両編成も欲しくなるが、これは追って企画される可能性もあるだろう。
この2種のセットでは時代設定が異なるから、仕様も編成も相当に違う。「ハイパーサルーン」はまさに登場時の原型バージョンで、側面に赤白の帯が入ったもの。重心を低くする設計のために屋根上にはクーラーも載っておらず、空調装置は床下にあるのみだった。ところが後に空調能力を増強する事となり、屋根上にも機器が追加搭載された。その状態になっているのが「みどり・ハウステンボス」セットの方だ。

いい意味で工業デザイン的な登場時の仕様。先頭部はよくFRPと言われるが実際は鋼鉄製。普通車のクモハだけが前面
に赤帯が回っている。モデルとしての印象はなかなか良いが、スカートだけは93年頃のリニューアル後の形状となっている
のが惜しい。実際の登場時は解結装置付き密連で、スカートはカプラー下でつながっていなかった。
さて肝心のモデルの出来である。一見した仕上がりはなかなか良い。塗装でいうと、ステンレス車の地肌表現として、例によって銀の塗装がボッテリとして粒子が粗すぎる感じがあるが、致命的なポイントではない。これも例によって窓周りとその上下では、ステンレス地肌の違いに合わせて塗装のトーンも変えられている。これは明確に判る程度になっている。屋根上では全体にわたって設けられたランボードが屋根とは明らかに違うトーンの濃いグレーで着色され、これはなかなか好印象である。その他屋根上機器や碍子など、模型的にはもう少し目立つ整形色にして欲しかった。
全体の構成的には、後述する車高の問題以外に大きな問題点はない。先頭部の白い部分は別パーツだが、実にこれも隙間無く嵌め込まれている。残念なのは、先頭部がTNカプラー対応ではない事。これは形状を優先した結果、既発売のTNでは無理だったという事だろう。「有明」時代から流線型先頭車同士の連結シーンはかなり見られたが、実現はユーザーの工夫に掛かっている。
また登場時のカプラーは実際には自動解結装置付きで、スカートは中央でつながっていない形態(「みどり・ハウステンボス」セットの状態に同じ)が正しい。このモデルのスカートは93年頃の「有明」用リニューアル車の形態をしており、時代的には正しくない。

大きな窓から見える、整形色で色分けされたシートが効果的…
塗装やディテール関係の仕上げそのものには及第点を与えるとして、ワシが感じるそれ以外の重大な問題点は次の二つ…
<例によって車高がバラバラ>
またまたコレである。上の写真では判り難いレベルではあるが、手にしてみると各車ごとに微妙に上下がある。先般の「こだま」型では相当な改善が見られたのだが、よほど懲りていないのか、あるいはユーザーを甘く見ているのか。ワシの購入したセットで見る限り、クモハの先頭側、モハのパンタ側と動力車が高め。サハの2両だけがきちんと低い車高だった。
いつも指摘してきた通り、全般に(均等に)車高が高いという事だけなら、それは設計上の解釈であって「設計ミス」と一概には言えない。しかし、各車バラバラという状況はまさに「設計ミス」か、そうでなければ「現場の品質管理不足」という事になる。
両セットのほとんど全車において、微妙に車高が上下している。容易に想像がつくのは、最も低い車高の部分が設計通り(「ハイパー…」セットではサハの2両)であって、それ以外は何かが当たっているから床板(あるいは台車)が正規の位置に収まらず、少々浮いて車体に固定されているという事だ。それにしても、動力車が若干高いというのは最もユーザーの手で修正し難く、困ったものである。この問題については、追って車種別の修正方法を探った上でレポートしたいと思う。
<車体が僅かに反っている>
こういう問題というのは、これまで知る限りのMICRO ACE製品にもなかった。要するに、車体全体が弓なりに反っているという意味で、具体的には車体中央がほんの少し下がっている。目立つのは何故か先頭車であり、「ハイパーサルーン」の特徴である帯は車体に沿って弓なりになっているのが判る。
そもそも、実物の鉄道車両も実は、全体が反っている事は多い。しかしあくまで、車体中央が上がっている状態で反っている場合がほとんどだ。これは、時間の経過と共に、基本的には車体の中央が自重により垂れ下がっていく傾向にあるために、新製時や整備時には逆の状態に反らせて締め付けておくのである。だから、中央が下がっている状態というのはほとんど無いし、それが容易に判る状態というのは有り得ない。
その昔、TOMIXがキハ183系を製品化した時、中央が上がる形で弓なりに、ハッキリ判る程度に反っていた事もあったが…いずれにしても、プラの金型自体が変形しているとは考え難く、脱型してからの僅かな変形ではなかろうか。そうそう簡単に製品化・再生産されるものとは考えられないだけに、消費者としてはなんとも勘弁して欲しい現象だ。
* * *
今回のモデルなど典型的にそうだが、多少の問題があってもどうしても購入したいモデルというのはある。ワシは九州のヒトなので、783系は製品化を待望していた必須アイテムなのだ。どうにも購入したい商品というのが、メーカーの中でも現在MICRO ACEの製品に集中しやすいのは、ここが後発メーカーとしてニッチ戦略を採っていて、ある意味それが大成功している証だろう。
だが、消費者が欲しくてたまらない商品だから、品質をおざなりにして良いという法則はないし、成立しても一時的なものだ。そこは良く考えて生産して欲しいし、ちょっとの余裕ある設計や僅かな生産管理でクリアできる問題ならなおの事である。「こだま」であれだけ良いものが出来たのだから、本当は出来るという事を消費者は知っている。
MICRO ACE キハ185系 JR九州色

価格設定としてはリーズナブル。全般には良い形態をしている。
<評価>
全般 ★★★
ディテール ★★★
プロポーション ★★★
塗装 ★★★☆
構成 ★★
走行性 ★★★
コストパフォーマンス ★★★★
四国と九州で活躍するキハ185系。長らく告知されていたアイテムだがようやく発売となった。このJR九州色は『特急「ゆふ」4両セット』と銘打っているが、もう一つの特急「あそ」についても封入されたステッカーにはきちんと網羅されている。
全般には形態的にもなかなか良好。ワシがいちばん気にする車高やオーバーハングは、基本的には正確に再現されている。特にディテールが細かいという印象はなく、ステンレス部分の銀色も少々ボテッとした感触。また屋根上のクーラーに至ってはパーツ全体が若干反り返っていたりするが、伸びやかなプロポーションの再現はそれを補って余りある。ちょっと驚かされるのは、四国時代の切り抜き車番を外した跡が、グレーのレタリングで表現されている点。実車でもかなり明確に残っているらしいが…。
特に今回、同社の製品としては価格設定が適切に感じる。コストパフォーマンスとしても、この値段ならこの仕上がりで十分満足できる。

キハ186。もとキロハ186で、JR九州譲渡に際してモノクラス化・エンジン2基化した。
<動力車の車高を揃えるには…>
さて、先に「基本的には正確に再現」と敢えて記したのは、中には正確でない点もあったためである。何かというと、モーター車である1両のキハ185のプロポーションが良くなかった。そもそも、トレーラー車でも台車の枕バネと車体の隙間は少々気になるのだが、編成を組むと明らかにモーター車だけ明らかに車高が高く、突出した状態になるのは非常に気になる。
A
購入時の状態ではアーノルトカプラーが付いている。上の写真では、とりあえずカプラーをTNに換えて
同時に別添えのスカートを組込んだだけもの。台車の空気バネと車体の隙間が大きく、腰高なのはこのページトップの写真と比べるまでもなく、お判りであろう。スカートと車体の間にも隙間がある。
この状態から、原因をつかむ事で下の写真のレベルまで車高を落とす事ができた。
B
スカートと車体の隙間もなくなっているのがお判りいただけよう。この状態で、トレーラーのキハ185と並べてみる。
C
左がトレーラー、右が件の工夫を施した動力車。
で、動力車の異常な車高の原因は何だったかというと・・・この二つのパーツのようである。
 
左がライトユニット。右がモーター部分をカバーした床下機器。
もとの状態では、床下機器パーツの上部とボディーの下端が当たっていたが、試みに一旦このパーツを外して動力ユニットを組込んでみると、かなり車高が下がった。で、当然の事として床下機器パーツの上端で干渉する部分を少々削ってみた。同時に、スカート部分を車体に密着させるため、干渉していたライトユニットを外した(ワシの場合、中間車だからと割り切ったが、干渉部分を注意深く削っていけば外さなくてもクリアできる)。その結果が写真B、Cというわけだ。
遜色なく動力車の車高が落ちたのは、更に下の写真で確認いただきたい。左が処置を施した動力車、右がトレーラーで、一応塗装などのラインはほぼ合っている。こうして並べてみると、トレーラーよりも相当に床下機器が膨らんでおり、ここまで無理をしてモーターを窓下に押し込むべきか、疑問に思う。

これでも少々不満が残るのが、実は動力車のみオーバーハングが少々長くなっている事だ。トレーラーと比べると、台車中心間で2ミリほど短い。何かのユニットを兼用しているのだろうか。ただ、もともとオーバーハングが長い印象を持つ車両のため、まあ車高だけ処置を講じれば我慢できる範囲ではある。
最初に記したように、基本的な設計は良く、価格的にも今回は満足のいくモデル。しかし、「動力車だけ車高が高い」などというのは、そもそもご免蒙りたい話である。こうした点は本生産に入る前に、生産現場での摺り合わせ的なチェックが足りないのではないか?中国での生産品に関して、あまり価格的メリットを反映して来なかった同社だけに、もちろん、今さら「中国製だから」というのは理由にならない。
今回なんとか調整できる範囲ではあったものの、構造的な必然性のない異常は明らかなミスであり、生産までのちょっとした注意で防げる事ならば、ユーザーに余計な手間は掛けさせないで欲しいものだ。
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