Model Impression


YAMA模型  201系ペーパーキット<HO>  2008.7.7

模型化センス良し。万人にお勧めのキット
YAMA模型 201系
デビュー時のスッキリとした量産201系を手際よくキット化している。  <写真の完成モデル、販売します>⇒こちら

評 価
全般 ★★★★
ディテール ★★★
プロポーション ★★★★
構成 ★★★★
コストパフォーマンス ★★★☆


当サイト初のHOキット、それもペーパーキットのインプレッション兼制作記である。今はNゲージのコレクターみたいになってしまったワシなのだが、もともとはHOゲージャー。ブラスにしろペーパーにしろ、まずまず仕上げる事はできるので、今後は時折チャレンジしていきたい。

ところで、アッという間に中央快速線からほぼ完全に撤退した201系。今回は基本的に転属や譲渡はなく、全車廃車⇒解体の道を辿っている。Nゲージでは比較的最近、国鉄型スタイルとしてKATOが再生産しているが、HOとなるとエンドウ製の完成品やキットがほぼ市場から消えて久しい。YAMA模型は岐阜のメーカーだが、このタイミングでキットを市場に出しているのは良い事である。現時点ではJR西日本の車体更新車もキット化しており、4両セットで1万円台というペーパーキットとしては適正な価格も好印象だ。


クハ200。下り側先頭車。トップの写真とは反対側サイドを示す。キットはデビュー当時に近い構成。


モハ200。パンタなしの電動車。台車はエンドウ製DT46で、ブレーキ部品を外せば付随車用のTR231にもなる。


 モハ201。パンタはエンドウのPS21を使用。動力車としてパワートラック2台を取り付けた。


 クハ201。上り側先頭車。Hゴムが全廃された201系は、仕上げが楽といえば楽?

製品は、いわゆるペーパールーフ。つまり側面と屋根が一枚の紙を曲げる事で構成されており、これは旧来のペーパーキットにはほとんど見られず、木製の屋根板とペーパーの側板を組み合わせるものばかりだった。ワシ的には、恐らく一定の車体断面を保ちながら工作する事が、ペーパールーフでは困難だったからではないかと思う。
このキットの場合、厚紙による車体断面の治具を添付すると共に、屋根部分には外側に切れ目を入れるという思い切った手法で、車体を曲げやすく(正確な断面を出しやすく)している。製品としては、既に曲げた状態で、完成車を収める化粧箱に4両分入って販売されている。キットに含まれるのは、全てのペーパー製パーツと窓ガラス、木製床板とレーザーカット&刻印された床下器具までだ。
ちなみに、この種のキットには珍しい懇切丁寧な説明書と、指定パーツのリストが付いているのは、素晴らしく親切だと言えるだろう。


車体を箱状に組み上げたところ。ご覧のようにペーパールーフ構成で、屋根上には切れ目が入れられている。

ペーパー派のワシとしても、これまで屋根板を使った工法しか採っておらず、ペーパールーフは初体験。断面の維持や屋根上の切れ目の埋め工作については心配が先に立ったものの、ほぼ問題なくクリアする事が出来た。組み始めた当初、多少薄く感じたペーパー素材も、工作を進めると思いのほかしっかりとして来る。
ただ少々疑問に思ったのは、こういう張り上げ屋根ではない車体を無理やりペーパールーフで作る必要があるのかな?という事。屋根板を使えば、車体の屋台骨がしっかりするので、工作上の安心感は確かだと思うのだ。それとも、屋根板を使う事でかなりコストが違ってしまうのだろうか?


その裏面。正確に断面を出すために、ワシは屋根裏の突っ張りをプラ棒で3ヶ所に入れている。

屋根上の切れ目については特別な事はせず、サーフェイサーを吹く⇒ペーパー掛け…を繰り返すうちにほぼ埋まってしまった。雨樋やサッシュ枠はカット済みの薄手ペーパーが入っており、サーフェイサーを吹いた後でシンナーを流して固着するよう指示がある。ワシはサラサラタイプ(流し込み用)のタミヤセメントを使ってみたが、こちらも作業性・仕上りともGOODであった。
レーザーカットされた各パーツはエッジも甘くなく、ペーパーとしてはなかなかシャープな印象だ。


ディテーリング中の先頭部。極小パーツの乗務員ステップ等は、車体に小穴を空けた上にシンナーで仮止めし、
裏から瞬間接着剤を流して固定した。

実車では折りたたみ式の乗務員ステップは、エコーモデル製が指定。うかつに触れただけで変形してしまうエッチング抜きの極小パーツだ。こういうパーツを、どのタイミングでどうやって取り付けるかまでは、流石に説明書にも指示されていない。ピンセットにつまんで瞬間接着剤で一発勝負に出れる人は、よほどの度胸がある人だし、いずれにしても、サーフェイサーの上からではどんな接着剤でも心もとない。
ワシとしてはパーツの台座裏の位置にピンバイスで小穴を開け、サーフェイサーが効くのを良いことに、それをふさぐ形でパーツをシンナーで仮止め。そして車体裏から瞬間接着剤を小穴に流し込み固定した。この方法はルーバーの固定にも利用している。


比較的あっさりとまとめたモハ201のパンタ周り。配管については図面も添えられているので、自分で満足の行く程度
に工作。パンタ碍子台はキットに指定の無かったパーツで、エコーのNo.614を使用した。

サーフェイサーはタミヤのスプレーを使用。ディテールが埋まらない程度に4〜5回程度吹いては磨いている。ある程度、気になった部分はディテールの掘り直しもやった。車体色となるルーバーやステップ、ランボードやパイピング等の金属部品は、最後のサーフェイサー吹付け前に取付けている。
ちなみに、太い配管には1.0mm真鍮線、細いものには0.3mmを使用。固定にも0.3mmを使用している。


クハ200(左)とクハ201(右)。前面中央の手摺りは実車では三分割されているが、キットではペーパー抜き落としのパーツ1つで表現。雰囲気としては十分出ているが、この固定には工夫が必要。

201系の印象を決める前面には、そんな無茶な!…というパーツが1つある。中央の大きな手摺り。これは本来、三つに分割されているのだが、製品としてはペーパー抜き落としの一本で表現するようになっている。省略とは言えるものの、コストを考えれば表現としては悪くないだろう。問題はその固定方法で、説明書にはその足を前面にイモ付けするように書かれているのだが、真鍮キットのハンダ付けではあるまいし、それは無茶というものである。ディスプレイモデルではなく、走らせる前提なのだから!
ワシとしては結局、目立たないよう0.3mmの真鍮線を車体に2本植え込み、それにパーツの足を瞬間接着剤で固定した。これなら、普通に触った程度では十分外れない強度はある。


完成したパンタ周り。碍子は本来、上下でパンタを挟む形が本当だが、今回は長めのパンタビスが入手出来ず断念。窓サッシは2段を表現。

このキットでは、ポイントとなる窓サッシの表現を二通りから選べる。2段式のサッシを表現したものと、簡略化してペラ1枚のサッシで表現するものである。両方のパーツがカットして用意されているので、ワシはせっかくだからと2段式をチョイスした。仕上がってみると、これはなかなか実感的。一昔前までは、真鍮製の高級モデルでもここまで表現したものはなかなか無かった。

床板は昔ながらの木製がセットされていて、動力車用にはちゃんとパワートラックがクビを振れるよう穴が開けてある。今回、動力としては天賞堂WB-26を2台使用。なんと現在ではHO用の汎用ウェイトというのは市場に無いらしく、ワシはエンドウのMPギアー用ウェイトの「床上取付け用」というのを2個乗せている。この状態で、テストランでのパワーは十分だった。

そういえば話は前後するが、このDT46台車を立川のエンドウで買ってきたところ、マクラバリには2mmのネジ穴が切ってあった。最近のHOの世の中をまるで知らんかったワシとしては、これは何かの間違いではないかと思い、知り合いの模型店主に問い合わせてみた。だって、これだと木製の床板に取り付ける方法が無いじゃないですか…結論としては、現在エンドウ・カツミのラインでのMPギアー仕様では、2mmのネジで台車を固定するらしい(^^;
これだと、一般的な日光モデルの木製床板用ボルスターなどは使用できない。結局、2.5mmのドリルでマクラバリの穴を拡大し、日光のボルスターが使えるようにした。


連結にはエコーの密連型ドローバーを使用。行先表示幕にはプリンターで光沢紙に印字したものを使用してみた。

仕上げのレタリング類では、切抜き文字の車番にはTOMIXの583系用メタルインレタを使用。所属区名・定員表示には、くろまやの製品を使った。それ以外のエンド表記、シルバーシートマーク等はTOMIXの113系用である。この中で、特にメタルインレタは粘着力が弱く、文字によってはピンセットやカッターの先で並べるなど、神経を擦り減らした。そんな訳で、メタルインレタだけは押さえにエッチングプライマーを利用している。知られていないが、古くなったマッハ模型のエッチングプライマー(通称グリーンプライマー)は、あらゆるインレタの押さえに最適。筆塗りしても痕が判りにくい。
行先表示幕については、Excelで作成した文字データを写真用の光沢はがきに印字し、車体裏から両面テープで固定してある。4連での運用を想定して「立川」行きとした。


木材を刻印・レーザーカットされただけの床下機器だが、目止めにサーフェイサーを吹いた程度では表面もつぶれず、そこそこに立体感のあるものとなった。

補足しておく事としては、指定のないパーツが幾つかある。パンタ碍子台とドローバー、正面のカプラーが主なところだ。ワシはパンタ碍子台とドローバーにはエコーのものを、密着連結器はお約束のエンドウ製を利用している。


完成後の印象としては、まずは良く出来た、コストパフォーマンスの高いキットだと思えた。久々にHOのキットを組んで感じたのは、必要なパーツ類の一つ一つが、現在においても決して高価だとは思わなかったという事。つまり、こういうペーパーキットというものは、今の時代においても十分に存在価値があるという事だ。参考までに、あらゆる制作費を加えるとこの4両は6万円台で完成している。

ペーパーモデルに対する誤解や偏見は多いと思うが、ペーパー車両はベースがローコストというだけで、作り方が簡単でもないし、仕上りがオーソドックスでもない。作り手の意識によって、いくらでも精密になるし、同時に手間もかかる。シャープに仕上げるには、真鍮キットよりも注意が必要だという事は言えるだろう。今回の作例は、ワシなりの201系の解釈という事でご覧戴きたい。
ただ、星の数ほど車両パーツが出ているHOだが、案外無いものは無い。今回で言えば、201系用の前面手摺りパーツ(件の本来3分割のもの)は、逆にNでは存在するのにHOでは出ていない。それだけ、現在ではNゲージのパーツメーカーの方が需要というか、旬なものに敏感だったりするのではないかとも思える。

<この完成モデル、販売します>

インプレで製作したこの201系4連。8月15日現在、銀座の天賞堂エバーグリーンショップにて
委託販売してます。価格は5万円台。ご興味のある方は覗いてやってくださいませ(^^;



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TOMIX  南部縦貫鉄道キハ10形レールバス<HO>

バックミラーのある側からのカット

<評価>
全般          ★★★★☆
ディテール       ★★★★
プロポーション    ★★★★★
塗装          ★★★★☆
構成          ★★★☆
走行性         ★★★★★
コストパフォーマンス ★★★★★

 告知されていたように、TOMIXで二つのスケールにて製品化が進められた南部縦貫のキハ10。いよいよHOでも登場した。ご覧のように、塗装の印象・全体の形態把握・ディテールいずれもなかなか良い。これは実際に手にしてみると、その素晴らしさはまさに実感できる。
 そうしたルックスだけでなく、何よりも今回感心させるのはその走行性の良さである。残念ながら、先に製品化されたNゲージの方は、走りに合格点を与えるには程遠かった。いくらそれなりに重量のあるHO車両とはいえ集電には不利な二軸車…しかし、そういう懸念は、走らせた瞬間に吹き飛ぶ! この製品の静粛かつ滑らかな走りは、絶賛に値するだろう。この製品の価格を考慮すれば、なおさらその感を強くする。


真横から見る。プラ製品の利を最大限に活かしたリベットの表現も適度。モノコックボディーをよく再現している。

 さてHOサイズ版では、当然、手摺りやバックミラーといったユーザー取付けのパーツが付き、これらは視覚的にも線が太すぎるといった印象は無い。取付けの容易さについても、バックミラーに少々手こずる以外は問題ない。そのバックミラー、軟質プラで少々ヨレヨレな印象も受けるが、逆に真鍮線やエッチング抜きなどできっちり作ったところで、これだけ突出していればおっかなくて扱えないだろう。


正面、及びバックミラーの無い側からのカット。ユーザー取付けとなるパーツの効果は明らか

 無理やり難癖つけるとすればテールライト周りに付ける標識板。円状と半円状がランナーにモールドされて選択できるのは良いのだが、ランナーの取りつきが円の外周そのものというのはいただけない。少々いびつな円になってしまいがちとなる。
 またキハ101、102の標記とそれぞれの車検標記のみユーザーがインレタから選択して転写するが、わさわざ「透明ベースあり」と「なし」の2群が用意されている。当然、成功すれば「透明ベースなし」の方が仕上がりはいいが、リベットが表現されているおかげでそれは神業に近い! 「透明ベースあり」の方でも、よく密着するよう極細の転写具で擦れば透明部分は目立たない。


<結論>
 Nしかやっていないヒトも、この一両は一度手にとって見てもらいたいと思うほど。ベーシックなHO製品はかくあるべきと思える。プラ量産品として必要十分なディテールと仕上げ、そして走行性能を持ち合わせていれば、余計なものは一切必要ないのが実感できる。逆に、こうしたベースの良い製品を納得いくまでディテールアップする楽しみも予感させてくれる。中国製であれローコストであれ、HO高級品のヘビーユーザーにも「安物」とは呼ばせない。名だたるHOメーカーよ、こうした原点に立ち還れ!




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